--- title: "Google広告アカウントの所有権と権限管理" description: "Google広告アカウントを会社の資産として残すための権限管理を解説します。自社の管理者を確保し、代理店変更や担当者の退職後も広告データを利用できる状態を作るための実務記事です。" date: 2026-05-29 updated: 2026-05-29 category: 運用体制 tags: [アカウント管理, 権限] official_sources: [ads-access-levels, ads-manager-ownership, ads-account-security, ads-manage-users] related_articles: [google-ads-for-companies, in-house-or-agency] draft: false --- Google広告を会社で使うなら、自社の管理者を最低2人確保します。代理店にはパスワードを渡さず、MCCアカウントから接続してもらう形が基本です。 この状態を最初に作っておけば、担当者が退職しても会社側のアクセスは残ります。代理店を変更するときも、過去の運用結果を同じアカウントで引き継げます。 Google広告の「所有権」は少しわかりにくい言葉です。データを持つクライアントアカウントと、強い権限を持つMCCアカウントに分けて考えると整理できます。 ## 広告データはクライアントアカウントに残る 会社が広告を配信する単位がクライアントアカウントです。運用と請求に関するデータは、ここに保存されます。 代理店は通常、複数のクライアントを管理するマネージャーアカウントから接続します。マネージャーとのリンクを解除しても、クライアントアカウントと広告データが自動的に消えるわけではありません。 Google公式ヘルプでも、オーナーとなったMCCがデータの所有権を奪うものではないと説明されています。クライアント側はリンクを解除できます。 ただし、代理店のMCCから新しいクライアントアカウントを作ると、そのMCCが自動的にオーナーになります。誰が作成した場合でも、自社ユーザーが管理者として入っていることを開始時に確認してください。 ## MCCのオーナー権限は必要な場合だけ付ける MCCの「オーナー」は、通常のリンクより強い権限です。オーナー側の管理者は、クライアントアカウントのユーザーやMCCとの接続を変更できます。 一つのクライアントアカウントで、オーナーにできるMCCは一つです。そのMCCが別のMCCの配下にある場合は、上位の管理者にもオーナー権限が及びます。 私は、広告運用を任せるだけなら通常のリンクから始めます。ユーザー管理まで委ねる事情があるときに、権限の範囲を確認してからオーナーへ切り替えます。 ## 会社側の権限は実際の仕事に合わせる Google広告では、ユーザーごとにアクセスレベルを分けられます。役職の高さではなく、実際の仕事に合わせて決めます。 | アクセスレベル | 主な用途 | |---|---| | 管理者 | ユーザーとMCCの接続を含むすべての操作を行う | | 標準 | キャンペーンを編集し、実績と請求情報を確認する | | 読み取り専用 | 設定や実績を確認するが変更しない | | 請求 | 支払い方法や請求情報を扱う | | メール専用 | 通知やレポートだけを受け取る | 管理者はユーザー追加やリンク解除ができるため、全員へ付ける必要はありません。日々の運用だけを行う人には標準アクセスで足ります。数字を見る人や請求を扱う人も、その仕事に必要な範囲までにします。 私は、会社の責任者と予備のユーザーを管理者にします。どちらも自分のGoogleアカウントでログインし、2段階認証またはパスキーを設定します。共通のIDとパスワードは使いません。 ## 現在の管理者を外す前に会社側のアクセスを確かめる アクセス一覧に自社の管理者が見つからない場合は、現在の管理者から会社の責任者を招待してもらいます。招待メールを受け取っただけでは移管は終わりません。新しい管理者でログインし、アクセス一覧を開けることまで確認します。 退職者の個人アカウントだけが残っている場合も順番は同じです。会社側の新しい管理者が使える状態になってから、古いアクセスを削除します。唯一の管理者を先に外すと、自社では戻せなくなる可能性があります。 パスワードを委託先と共有しているなら、MCCから接続し直した後にパスワードを変更します。利用者ごとのアクセスへ戻せば、契約終了後も古い端末から入れる状態を残さずに済みます。 広告の管理者だけ揃っても、計測を修正できなければ引き継ぎは不十分です。Google Tag Managerを別会社が管理している場合は、自社から公開できる人がいるかも同じタイミングで確かめます。 ## 代理店を変更するときの順番 旧代理店をすぐ解除せず、自社と新しい運用者で引き継げる状態を先に作ります。広告が配信中なら、解除後も配信と計測を確認できる時間に行った方が安全です。 1. 自社管理者が2人ログインできることを確認する 2. 広告IDと請求方法を確認し、計測との接続も記録する 3. 新しい代理店のマネージャーをリンクする 4. 新しい運用者がキャンペーンと計測を確認する 5. 旧代理店を解除し、配信とコンバージョンを確認する 同じクライアントアカウントを使えば、変更履歴も残ります。レポート画像だけを渡すより、以前の判断を新しい運用者がたどりやすくなります。 ## 半年ごとにアクセスを棚卸しする 権限は一度設定して終わりではありません。人や委託先が変わると、使われていないアクセスが残ります。 半年ごとに、自社の管理者が2人いるかを確認します。契約終了や退職があったときは、その時点でも見直します。もう関わっていない人は外し、残す権限が強すぎないかも確かめてください。 アカウントを会社の資産として残すには、成果だけでなく、誰が管理できるかも見ておく必要があります。まずは現在のアクセス一覧を開き、自社の管理者が2人いるか確かめてみましょう。