Google広告の予算は、他社の相場ではなく、自社が1件の顧客を獲得するために使える金額から決めた方が良いです。月3万円で始める会社もあれば、同じ業種でも月30万円が必要な会社もあります。売上の残り方も、契約へ進む割合も会社ごとに違います。業種別の平均だけを見ても、自社に適した予算はわかりません。
私は、事業として使える上限を決めてから、検証へ回す総額を考えます。Google広告へ設定する金額は最後です。この順番なら、管理画面の推奨額に引っ張られず、失敗できる範囲を先に決められます。
最初に1件あたりの許容額を決める
予算を考える起点は月額ではなく、顧客を1件獲得したときに残るお金です。売上ではなく、商品提供や営業にかかる費用を引いた後の金額で考えます。
たとえば、新規契約1件から得られる粗利が12万円だとします。営業費や利益として7万円を残すなら、顧客獲得へ使える上限は5万円です。
問い合わせから契約へ進む割合が25%なら、契約1件に問い合わせが4件必要です。この場合、問い合わせ1件あたりの許容広告費は次のように計算できます。
| 項目 | 金額または割合 |
|---|---|
| 新規契約1件の粗利 | 120,000円 |
| 顧客獲得へ使える上限 | 50,000円 |
| 問い合わせから契約する割合 | 25% |
| 問い合わせ1件の許容CPA | 12,500円 |
CPAは1件の成果を得るために使った広告費です。ここでは、5万円を4件の問い合わせで割っています。
成約率がまだわからない場合は、営業担当者の感覚で高く見積もらず、低めの数字と標準的な数字を2通り置いてください。広告の結果だけでなく、問い合わせ後の営業結果も記録すると、次回から予算の精度を上げられます。
検証総額を先に確保する
許容CPAが決まったら、何件の問い合わせを見て継続判断するかを決めます。1件だけでは偶然の影響が大きいため、複数件を確認できる総額を用意します。先ほどの例で8件の問い合わせを一つの判断材料にするなら、検証総額は10万円です。
12,500円 × 8件 = 100,000円
これは「10万円を使えば8件取れる」という予測ではなく、許容CPA内の問い合わせが得られないときに見直すための上限です。成果が出る前に使い切る場合もあるため、開始前に中間確認する金額を決めておきます。関係のない検索が多ければ配信範囲を止めます。問い合わせが商談にならないなら、営業担当者と内容を確認します。
検証総額へ達した後も、なんとなく継続してはいけません。LPを直して続けるのか、広告を止めるのかを決めます。予算は成功を約束する金額ではなく、自社の判断材料を買う金額でもあります。最初から年間予算をすべて広告へ入れず、小さな検証単位に分けた方が修正しやすいです。
平均日予算は月額から計算する
Google広告では、キャンペーンごとに平均日予算を設定します。月10万円を1か月通して使う計画なら、10万円を30.4で割り、平均日予算は約3,290円です。
Google公式ヘルプによると、ほとんどのキャンペーンでは、ある日の費用が平均日予算の2倍まで増える可能性があります。一方、月単位の請求上限は平均日予算の30.4倍です。毎日きっちり3,290円になるわけではありません。
日別の費用だけを見て「予算を超えた」と判断せず、月の上限と配信期間を合わせて確認します。途中で平均日予算を変更すると請求上限にも影響するため、変更日と理由は残した方が良いです。
新規アカウントなどでは、キャンペーン予算とは別にアカウント単位の日次利用限度額が適用される場合もあります。設定した予算を使い切らないときは、需要や入札だけでなく、アカウント通知も確認してください。
少額で始めるときは範囲を狭くする
少額でも広告を始めることはできます。ただし、予算を下げたまま対象を広げると、どこにも十分なデータが集まりません。
予算が限られている場合は、金額だけを小さくするのではなく、検証する範囲も小さくします。最も利益が残るサービスと対応可能な地域へ絞り、購入や相談の意図が明確な検索から始めます。広告のリンク先も一つにすると、反応が悪かったときに原因をたどりやすくなります。
クリック単価が高いと、日予算では数クリックしか得られない場合があります。そのときは検証期間を長くします。広告を始める前に、LPや営業導線を整えた方が良いこともあります。
少額運用の目的は、安く見せることではありません。無駄な範囲を削り、限られた費用で一つの仮説を確かめることです。
広告費以外の予算も分けておく
Googleへ支払う広告費だけで予算を組むと、改善に必要な費用が後から足りなくなります。配信の外にも、運用を判断し、サイトや計測を直す仕事があるためです。
広告費を増やすより、問い合わせフォームの不具合を直した方が成果につながる場面もあります。広告予算の全額を配信費用に固定せず、改善へ回せる余白を残してください。
パフォーマンス プランナーは予測として使う
パフォーマンス プランナーでは、予算や入札設定を変えた場合の掲載結果を予測できます。複数の案を比較する材料になりますが、予測どおりの問い合わせや売上を保証するものではありません。
予測値は過去の実績や市場の変化などを使って計算されます。計測しているコンバージョンが事業成果とずれていれば、その前提を使った予測も経営判断とはずれます。問い合わせ完了だけでなく、商談や契約まで照合してください。
私は、事業上の上限を決めた後にパフォーマンス プランナーを使います。管理画面の予測額から予算を決めるのではなく、自社が使える範囲で配分案を比較する順番です。
予算を増やす前に確認すること
成果が取れたからといって、すぐに予算を倍にする必要はありません。問い合わせの内容と営業結果を確認してから増額します。許容CPA以内でも、対象外の問い合わせばかりなら増額するのはまだ早いです。受け入れ側が対応できない件数まで増やさず、成果が生まれている検索や地域へ必要な分を配分します。
目標値に基づく入札戦略を使い、ステータスが「予算による制限」になっている場合は、設定した目標値も見直します。2026年8月17日以降は、予算を増やした後もその目標値に沿って最適化されます。実績が許容CPAを下回っていても、その差が維持されるとは限りません。
増額前に確認したいのは、目標値が現在の事業条件を表しているかです。今の効率を守るなら実績に近い目標へ直します。許容できる範囲で件数を増やすなら、その余地を残します。この考え方はGoogle広告の入札戦略と自動入札の選び方で詳しく説明しています。
ここまで確認できれば、予算は感覚ではなく事業の数字として扱えます。まずは粗利と成約率を用意し、使ってよい上限を1件単位で計算してみましょう。