法人がGoogle広告を始めるときは、広告アカウントを作る前に責任者を決めた方が良いです。アカウント作成や広告入稿は、進めながら覚えることができます。しかし、会社の管理者が決まっていない状態で始めるのは危険です。成果を測れず、営業も問い合わせを受けられないなら、広告が動いても事業として評価できません。
開始前の準備は、管理画面の設定だけではありません。広告の前後で誰が判断するかまで決めます。
広告の目的を一つの行動にする
最初に「売上を増やす」のような大きな目標を、広告から確認できる行動へ落とします。問い合わせや購入のように、事業に最も近いものを一つ選びます。
資料のダウンロードやフォーム表示も計測できますが、すべてを同じ成果として扱うと、自動入札がどの行動を増やせば良いのか曖昧になります。最終成果と中間行動は分けてください。
広告を始める前に、増やしたい行動と、その発生を確認する場所を言葉にしておきます。問い合わせ後の結果を誰が残すかも決めます。1件に使える上限までわかれば、管理画面の数字を事業の結果として評価できます。
予算がまだ決まっていない場合は、Google広告の広告予算はどれくらい必要かで、粗利と成約率から許容額を計算できます。
社内と社外の役割を決める
Google広告は一人で管理画面を操作できても、一人だけでは完結しないことが多いです。配信の前後に関わる担当を分けておきます。
| 役割 | 開始前に決めること |
|---|---|
| 意思決定者 | 予算上限、停止条件、訴求方針を承認する |
| 運用担当者 | 日々の確認、変更、記録を行う |
| 制作担当者 | LP、フォーム、計測タグを修正する |
| 営業担当者 | 問い合わせへ対応し、商談結果を戻す |
| 経理担当者 | 支払い方法、請求書、予算実績を確認する |
同じ人が複数の役割を持っても構いません。ただし、誰の判断待ちなのかわからない状態は避けます。
特にLPの変更を制作会社へ依頼している場合は、計測タグを設置できるか、修正に何営業日かかるかを先に確認した方が良いです。広告開始後にフォームの不具合が見つかっても、すぐ直せなければ広告費だけが発生します。
アカウントは会社が継続管理できる形にする
広告アカウントには、会社として管理を続けられるGoogleアカウントから管理者権限を付与します。複数人で一つのIDとパスワードを共有せず、担当者ごとに個別アクセスを付けます。
Google広告では、業務に合わせてアクセスレベルを選べます。すべての担当者を管理者にせず、役割に必要な権限だけを付けてください。
管理者は一人だけにしない方が安心です。退職やアカウント復旧の問題が起きたときに、会社側でアクセスを戻せなくなる可能性があります。具体的な構成はGoogle広告アカウントの所有権と権限管理で説明しています。
タイムゾーンと通貨を慎重に選ぶ
配信アカウントのタイムゾーンと通貨は、作成後に変更できません。誤って設定した場合は、新しいアカウントの作成が必要です。
日本法人が国内向けに運用する一般的な場合は、日本時間と日本円になっていることを作成画面で確認します。海外拠点が支払う場合や複数国で運用する場合は、請求主体とレポート基準を社内で決めてから作成してください。
支払いプロファイルには、広告費へ法的責任を持つ法人情報が保存されます。支払い方法もここへ結び付きます。担当者の個人情報で仮登録せず、経理担当者と確認してください。
配信前に計測を実際に試す
コンバージョン設定は、タグが入っているだけでは完了ではありません。広告を止めた状態で、問い合わせや購入を一度実行し、意図した成果が1回だけ記録されることを確認します。
配信前に直すべきなのは、ユーザーの行動と記録される成果が一致しない状態です。フォームを開いただけで完了になったり、1回の送信が重複して記録されたりするなら、実際より良い数字が自動入札へ渡ります。
自動入札は、設定した成果を増やそうとします。誤ったコンバージョンを渡すと、広告の操作が正しくても事業成果から離れていく場合があります。
LPと広告の約束をそろえる
広告文で伝えた条件は、リンク先でも確認できるようにします。判断に必要な情報が見つからないLPでは、ユーザーは問い合わせへ進めません。
配信前には、スマートフォンとPCの両方でLPを開きます。広告で伝えるサービスが、最初の画面でわかるかを見てください。料金や利用条件に誤解を招く表現がないことも大切です。運営会社と個人情報の取り扱いが確認できれば、問い合わせ前の不安を減らせます。
表示内容を確認したら、フォームを実際に送信します。正しい返信先へ届き、リンク先にも問題がなければ配信へ進めます。
法律や業界規制の判断が必要な場合は、広告担当者だけで決めず、社内の法務担当者や専門家へ確認してください。
問い合わせの受け入れ上限を決める
広告は問い合わせを増やす入口です。その後の返信が遅ければ、広告の成果が良くても契約にはつながりません。
問い合わせを誰が、何時間以内に、どの方法で確認するかを決めます。予約枠や在庫に上限がある場合は、広告を止める条件も用意します。
営業担当者から運用担当者へ戻したいのは、問い合わせが顧客になり得たかという判断です。商談後の結果まで残せれば、広告の数字を売上へつなげて考えられます。
この情報があれば、問い合わせ数が少なくても価値の高い検索を判断できます。管理画面のCPAだけで良し悪しを決めるより、事業に合った改善ができます。
広告主確認の担当者を決めておく
Google広告では、アカウント内やメールで広告主確認を求められる場合があります。期限が設定された確認を完了しないと、アカウントが一時停止されます。
確認内容はアカウントや請求設定によって異なり、法人書類や組織との関係を確認できる情報が必要になることがあります。管理者だけが行える作業もあるため、通知を誰が確認し、誰が書類を用意するかを決めておきます。
広告配信を始めた後で慌てないように、会社情報と支払い情報の表記をそろえてください。
配信開始前の最終チェック
広告を有効にする前日には、増やす成果と検証に使う総額を関係者で確認します。会社側の管理者が2人いることも確かめます。作成後に変えられない設定と請求情報は、この時点が最後の見直しです。
次に、コンバージョンを実際にテストします。LPとフォームは、PCとスマートフォンの両方で確認してください。動作に問題がなければ、問い合わせへ返信する人と重要な通知を見る人を確定します。未決定のことが残るなら、責任者と対応日を記録します。
この準備ができていれば、広告開始後の問題を「広告の問題」と「社内体制の問題」に分けて考えられます。アカウント作成を急ぐより、まず一枚の役割表を作るところから始めてみましょう。