Google広告を会社で使うなら、自社の管理者を最低2人確保します。代理店にはパスワードを渡さず、MCCアカウントから接続してもらう形が基本です。
この状態を最初に作っておけば、担当者が退職しても会社側のアクセスは残ります。代理店を変更するときも、過去の運用結果を同じアカウントで引き継げます。
Google広告の「所有権」は少しわかりにくい言葉です。データを持つクライアントアカウントと、強い権限を持つMCCアカウントに分けて考えると整理できます。
広告データはクライアントアカウントに残る
会社が広告を配信する単位がクライアントアカウントです。運用と請求に関するデータは、ここに保存されます。
代理店は通常、複数のクライアントを管理するマネージャーアカウントから接続します。マネージャーとのリンクを解除しても、クライアントアカウントと広告データが自動的に消えるわけではありません。
Google公式ヘルプでも、オーナーとなったMCCがデータの所有権を奪うものではないと説明されています。クライアント側はリンクを解除できます。
ただし、代理店のMCCから新しいクライアントアカウントを作ると、そのMCCが自動的にオーナーになります。誰が作成した場合でも、自社ユーザーが管理者として入っていることを開始時に確認してください。
MCCのオーナー権限は必要な場合だけ付ける
MCCの「オーナー」は、通常のリンクより強い権限です。オーナー側の管理者は、クライアントアカウントのユーザーやMCCとの接続を変更できます。
一つのクライアントアカウントで、オーナーにできるMCCは一つです。そのMCCが別のMCCの配下にある場合は、上位の管理者にもオーナー権限が及びます。
私は、広告運用を任せるだけなら通常のリンクから始めます。ユーザー管理まで委ねる事情があるときに、権限の範囲を確認してからオーナーへ切り替えます。
会社側の権限は実際の仕事に合わせる
Google広告では、ユーザーごとにアクセスレベルを分けられます。役職の高さではなく、実際の仕事に合わせて決めます。
| アクセスレベル | 主な用途 |
|---|---|
| 管理者 | ユーザーとMCCの接続を含むすべての操作を行う |
| 標準 | キャンペーンを編集し、実績と請求情報を確認する |
| 読み取り専用 | 設定や実績を確認するが変更しない |
| 請求 | 支払い方法や請求情報を扱う |
| メール専用 | 通知やレポートだけを受け取る |
管理者はユーザー追加やリンク解除ができるため、全員へ付ける必要はありません。日々の運用だけを行う人には標準アクセスで足ります。数字を見る人や請求を扱う人も、その仕事に必要な範囲までにします。
私は、会社の責任者と予備のユーザーを管理者にします。どちらも自分のGoogleアカウントでログインし、2段階認証またはパスキーを設定します。共通のIDとパスワードは使いません。
現在の管理者を外す前に会社側のアクセスを確かめる
アクセス一覧に自社の管理者が見つからない場合は、現在の管理者から会社の責任者を招待してもらいます。招待メールを受け取っただけでは移管は終わりません。新しい管理者でログインし、アクセス一覧を開けることまで確認します。
退職者の個人アカウントだけが残っている場合も順番は同じです。会社側の新しい管理者が使える状態になってから、古いアクセスを削除します。唯一の管理者を先に外すと、自社では戻せなくなる可能性があります。
パスワードを委託先と共有しているなら、MCCから接続し直した後にパスワードを変更します。利用者ごとのアクセスへ戻せば、契約終了後も古い端末から入れる状態を残さずに済みます。
広告の管理者だけ揃っても、計測を修正できなければ引き継ぎは不十分です。Google Tag Managerを別会社が管理している場合は、自社から公開できる人がいるかも同じタイミングで確かめます。
代理店を変更するときの順番
旧代理店をすぐ解除せず、自社と新しい運用者で引き継げる状態を先に作ります。広告が配信中なら、解除後も配信と計測を確認できる時間に行った方が安全です。
- 自社管理者が2人ログインできることを確認する
- 広告IDと請求方法を確認し、計測との接続も記録する
- 新しい代理店のマネージャーをリンクする
- 新しい運用者がキャンペーンと計測を確認する
- 旧代理店を解除し、配信とコンバージョンを確認する
同じクライアントアカウントを使えば、変更履歴も残ります。レポート画像だけを渡すより、以前の判断を新しい運用者がたどりやすくなります。
半年ごとにアクセスを棚卸しする
権限は一度設定して終わりではありません。人や委託先が変わると、使われていないアクセスが残ります。
半年ごとに、自社の管理者が2人いるかを確認します。契約終了や退職があったときは、その時点でも見直します。もう関わっていない人は外し、残す権限が強すぎないかも確かめてください。
アカウントを会社の資産として残すには、成果だけでなく、誰が管理できるかも見ておく必要があります。まずは現在のアクセス一覧を開き、自社の管理者が2人いるか確かめてみましょう。